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大分地方裁判所 昭和47年(行ウ)2号 判決 1972年10月04日

大分市大字明野一八二九番地

原告

大塚厚美

右訴訟代理人弁護士

河野浩

大分市中島西一丁目一番三二号

被告

大分税務署長

吉永亨

右指定代理人

麻田正勝

丸山稔

下司孝男

村上久夫

須藤重幸

村上悦雄

右当事者間の更正処分取消請求事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

本件訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は「被告が昭和四五年一二月一八日付をもつて原告に対してなした昭和四四年度分の申告所得額に関する更正処分のうち果樹の譲渡所得金額が金七五九万六八三八円であるとする部分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、被告は主文同旨の判決を求めた。

原告は請求原因として、

「原告は、昭和四四年一〇月二日、訴外財産法人大分県開発公社に対し、大分市大字明野字向原一八二四番地ほか一〇筆の土地を合計金五三二六万一〇〇〇円で売渡したが、右売却するまでは同土地を果樹園として事業の用に供し、右土地売却後、その金額を居住用財産および事業用資産の取得にあてた。

原告の右譲渡所得は、昭和四四年法律第一五号、租税特別措置法の一部を改正する法律附則第八条により、改正前の租税特別措置法(以下旧措置法という)第三五条、第三八条の六の規定に基づき課税対象とならないので、原告は、昭和四四年度分の所得税申告につき譲渡所得金額を零として被告に申告したが、被告は、原告の取得した金五三二六万一〇〇〇円の中には旧措置法第三五条、第三八条の六の適用のない果樹補償金一七〇九万五〇〇〇円が含まれているとして、その金額につき右規定の適用を否認し、昭和四五年一二月一八日付で請求の趣旨記載のごとき更正処分をなした。

原告は右更正処分を不服として、昭和四六年二月一八日被告に対し異議申立をしたが棄却され、さらに、同年六月一二日国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、同年一〇月五日これを棄却された。

よつて、原告は被告に対し右更正処分の取消しを求める。」

と述べ、被告の本案前の抗弁に対する反対主張として、

「原告が国税不服審判所長の裁決書謄本を昭和四六年一〇月一六日送達を受けたとの点は否認する。」

と述べた。

被告は本案前の抗弁として、

「原告も自認するように、国税不服審判所長は、昭和四六年一〇月五日付で原告の審査請求を棄却する旨の裁決をなしたが、右裁決書の謄本は昭和四六年一〇月一六日原告に送達された。したがって、原告が昭和四七年一月一九日に至り提起した本訴は、行政事件訴訟法第一四条第一項所定の三か月の期間を徒過したものであるから、不適法な訴えとして却下されるべきである。」

と述べた。

証拠として原告は、甲第一ないし第四号証、第五号証の一および二を提出し、乙号各証の成立はすべて認めると述べ、被告は乙第一および第二号証、第三号証の一および二、第四および第五号証を提出し、甲第一号証のうち添付図面の成立は不知、その余は認める、甲第二号証、第五号証の一および二の成立は認める、その余の甲号各証の成立は不知と述べた。

理由

被告の本案前の抗弁について判断する。

被告が、昭和四五年一二月一八日、本訴の対象である原告の昭和四四年度分の所得税申告に対し更正処分をなし、原告はこれを不服として被告に異議申立をしたが棄却され、さらに、昭和四六年六月一二日、熊本国税不服審判所長に対し審査請求をしたが、同年一〇月五日、右審査請求が棄却されたことは当事者間に争いがない。

つぎに、成立に争いのない乙第一号証、第二号証、第三号証の一および二によれば、右熊本国税不服審判所長の裁決書謄本は、昭和四六年一〇月一四日原告宛に発送され、同月一六日に原告に配達されたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

また、原告は本訴を昭和四七年一月一九日に提起したことは当裁判所に明らかな事実である。

以上の各事実によれば、原告は右裁決書謄本を受取つた昭和四六年一〇月一六日に本件裁決があつたことを知つたものと認められるところ、本件訴訟は同日より三か月を経過した後に提起されているので、行政事件訴訟法第一四条第一項所定の三か月の出訴期間を徒過した不適法な訴えである。よつて、これを却下することとし、訴訟費用については民事訴訟法第八九条にしたがい、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高石博良 裁判官 大喜多啓光 裁判官 田中正人)

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